甘い初恋は、イケナイ最後の恋。
大はゆっくりとした足取りで階段を降り、電気のついているリビングへ顔を出した。
そこには丁度お茶を淹れた明子と、椅子に座る男性がいた。
大が来たことに気付くと男性はすぐに笑顔で立ち上がり、大のところに近寄った。
「君が大くんなんだね?
話は明子さんから聞いてるよ。
私は明子さんの夫の時瀬学です。よろしくね」
「い、いえ!こちらこそ。荒木 大です」
明子の再婚相手、そして結愛の異父・学が差し出してきた手を大は握り、自己紹介をした。
学は微笑むと明子の方を向く。
「挨拶も終わったし、私はもう寝るよ」
「寝るの?せっかくお茶淹れたのに」
「久しぶりに親子が再会したんだ。
積もる話もあるだろ?あまり遅くならないようにね」
「学さんありがとう。お休みなさい」
「お休み」
学は明子の頬に軽くキスをすると、大をもう一度見て微笑みリビングから出ていった。