甘い初恋は、イケナイ最後の恋。
大は学の背中を見送ると、明子の方を見た。
「いい人そうだね。
母さんのこと愛してるの伝わってくる」
「え、そ、そう!?
でもやっと巡り会えた気がするわ、運命の人って人に」
明子の顔は恋をしてる少女のようで、そんな母親を見たことがなかった大は少し驚いた。
それと同時に悪そうな人には見えない学と、昔から変わらない明子を避けているように見える結愛に疑問を持つ。
(ゆあはどうして……)
大の疑問は明子の一言で解決へと導かれる。
「…これを三度目の正直って言うのかしらね」
「…三度目……って…」
大は明子の再婚がてっきり二度目の結婚だと思っていた。
だが三度目の正直というのは、二度の失敗の後に成功するというもの。
明子は淹れたお茶を一口飲むと、苦笑いをして手元のコップを見つめた。
「…あなたのお父さんと離婚した後すぐに再婚したの。
でもダメだった。やっぱり共働きしてるとすれ違ってしまって。
学さんも私と同じでバツが二つつくの。
失敗を二回したもの同士だからか、今度はすれ違わずに上手くいってるのよ?」