甘い初恋は、イケナイ最後の恋。
でも何でもいいの。
大くんからもらえるご褒美だったら、お菓子一個だろうと私には宝物になるんだから。
大くんのこの言葉を楽しみに勉強したノートを見直して、テストに挑んだ。
大くんが教えてくれたところがほぼテストに出て、今までにないくらい問題が簡単に見えて。
どの教科もスラスラと解けてしまった。
今回は進級テストだったから一日で終わった。
「んー、終わったー!」
背伸びをしてスマホを見ればテストの出来を伝えたくてたまらなかった大くんからのLINEがきてた。
『終わったか?
最初に会った場所で待ってる』
大くんが待ってくれている。
そう思うと体が勝手に動いて、帰り支度を始める。
教室を出る前に、前の席に座ってる翔の顔を覗き込む。
翔は目を見開いて私を澄んだ瞳に写した。
「見ててね翔!今度こそギャフンと言わせてやるんだから!」
翔に差し指を向けて悪戯の成功した子供みたいに笑った。
そしてすぐに大くんの待つところへと走り出す。
翔が鋭い目で私の背中を見ていたなんて気付かなかった。