甘い初恋は、イケナイ最後の恋。
バイトへ行く道の途中で、私は大くんと出会った。
いつもは歩いていくその道も大くんが待ってる、それだけで走り出してしまう。
なんでだろう。
なんでこんなにも大くんが待っていることを喜んでいるのだろう。
この気持ちは……なに?
「あ、…大くん!」
出会った頃と同じサングラスをかけてコンクリートの塀に背中を預ける大くんを見つけて、嬉しくてつい大声で名前を呼ぶ。
私の声にサングラスを取ると大くんはいつもの笑みを浮かべた。
「ゆあ、テストどうだった?」
「大くんのお陰でバッチリだったよ!
今から結果が楽しみ!こんなに結果が待ち遠しいテストなんて初めてだよ!」
ありがとう大くん!
精一杯の笑顔でお礼を言う。
大くんは私の笑顔に答えるように笑って、良かったなと言いながら私の頭を撫でてくれた。
それがどれだけ私を喜ばせているか、大くんは分からないと思う。
しばらくすると大くんは急に真面目な表情になった。
「ゆあ、今日のバイト休みだろ?
ちょっと話したいことがあるんだけど、今から大丈夫か?」
「え、あ、うん。大丈夫だけど……」
「そうか。じゃあ、行くぞ」
「あ、大くん!?」
私の返事を聞くや否や私の手を引っ張って歩き出した。
大くん…?
何だか怒ってるような感じもするけど……
訳が分からないまま、それでも大くんに付いていくことしか出来ずにいた。