甘い初恋は、イケナイ最後の恋。




「名前を教えて…!」




効果音が聞こえてきそうなほどに勢いよく顔を上げる。
顔を上げると何故か周りのクラスメイトが皆私の方を向いていて。




「名前……私は山坂。
時瀬のクラスの担任でもあり、古典の教師だ。

ちなみに言えば今がその古典の授業中だ。
これで問題解決か?」




声をする方を向けば、私のすぐ近くには担任の山坂先生が眉毛がくっつきそうなほどに眉間にシワを寄せ、古典の教科書を持って仁王立ちしていた。




古典の授業中……




まさか寝てて、最悪なことに寝言まで言っちゃった?




「せ、先生のおかげでスッキリしました」


「……そうか。
なら寝ずに真面目に授業を聞け!時瀬ぇ!!」


「す、すみません……!」




私がこうして山坂先生に怒られるのは毎回のことで。




このコントのようなやりとりで、クラス中が笑いに包まれるのも毎回のこと。



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