甘い初恋は、イケナイ最後の恋。
言ってはいけないことを言ってしまった。
そう思って慌てて口を塞いでもももう遅くて。
大くんは目を丸くして動きが止まっている。
そんな大くんに罪悪感だけが残る。
でもこれでよかったんだよ。
結果的に話さなくてよくなったんだから。
「…ごめん……今日はもう帰るね…」
これ以上ここにいたら泣いてしまう。
それじゃ、せっかく言ったことが台無しになってしまう。
鞄を持って立ち上がる。
必死に涙を堪えて大くんの横を急いで通り過ぎる。
「…っ!?」
大くんに背中を向けた瞬間、手首を掴まれて後ろに引っ張られた。
気付いた時にはもう大くんの大きな腕の中にいて。
「ひ、大くん!?離して!離し……」
「分かんないよ。分かるわけない」
「え…?」
大くんから離れようともがいても、大くんに力強く抱き締められていて離れられない。
私の言葉を遮って紡がれた大くんの言葉に、今度は私の体が動きを止める。
大くんは少し体を離して、でも腕の力は変えずに私を真っ直ぐに見つめる。