甘い初恋は、イケナイ最後の恋。
「それからお母さんは離婚して、しばらくしてから学さんと再婚したの。
学さんはとてもいい人だって分かってる。
でも前のことがあったから私は余計なことを言わない方がいい、その方がお母さんも学さんも幸せになれるそう思った。
だから私は社会勉強したい、なんて適当な理由を言ってバイトをするようになったの」
大くんは私を自分の膝の上に座らせて抱き締めたまま黙って話を聞いてくれている。
優しく背中を撫でる手はとても心地よくて、私を抱き締めたまま落ち着かせてくれる。
バイトを始めても、帰ってくれば聞こえてくるのはお母さん達の楽しそうな笑い声。
まるで私なんか最初からいなかったように見えて。
そう見えてしまえば、私ってただの邪魔者なのかもって思うようになって。
「こんなの…逃げてるだけだって分かってるの…
でも…っ…でもそう思うことしか…できな、くて……っ!」
孤独をより一層感じるようになったのは、お母さんと学さんの子供が産まれた時から。
思い出せば枯れたと思っていた涙がまた溢れだしてくる。
大くんは力を込めて私を抱き締めた。