甘い初恋は、イケナイ最後の恋。
「…大くんごめん。服濡らしちゃった……」
「気にすんな。ゆあがスッキリしたんならそれでいいから。
………ぷっ」
大くんはヒトの顔を見るなり笑いだした。
何だろうと思って鞄から鏡を出して見れば、そこには泣き腫らした自分の顔があった。
「わ!すごい目が…!目が…!」
「なかなか個性的なメイクになったな……ぷっ!」
「ちょ、笑わないでよ大くん!しかも失礼!」
笑いを止めようとしない大くんに頬を膨らませて睨む。
それでも爆笑している大くんを置いて、私はハンカチを濡らしに洗面所へ向かった。
しばらく目にハンカチを当てて冷やして、ある程度治って来たため家に帰ることにした。
靴を履いて一歩外に出ると、振り返って大くんを見る。
「大くん、ありがとね。話聞いてくれて。
私、逃げずに向き合ってみようと思う。お母さんとも、学さんとも」
「母さんもかなりゆあのことでショック受けてたからな、話せば喜んでくれるはずだ。
もしそれでもうまくいかない時があったら、迷わずに俺のとこに来い」
大くんの言葉に素直に頷く。