甘い初恋は、イケナイ最後の恋。




「…大くんごめん。服濡らしちゃった……」


「気にすんな。ゆあがスッキリしたんならそれでいいから。
………ぷっ」




大くんはヒトの顔を見るなり笑いだした。




何だろうと思って鞄から鏡を出して見れば、そこには泣き腫らした自分の顔があった。




「わ!すごい目が…!目が…!」


「なかなか個性的なメイクになったな……ぷっ!」


「ちょ、笑わないでよ大くん!しかも失礼!」




笑いを止めようとしない大くんに頬を膨らませて睨む。
それでも爆笑している大くんを置いて、私はハンカチを濡らしに洗面所へ向かった。




















しばらく目にハンカチを当てて冷やして、ある程度治って来たため家に帰ることにした。




靴を履いて一歩外に出ると、振り返って大くんを見る。




「大くん、ありがとね。話聞いてくれて。
私、逃げずに向き合ってみようと思う。お母さんとも、学さんとも」


「母さんもかなりゆあのことでショック受けてたからな、話せば喜んでくれるはずだ。
もしそれでもうまくいかない時があったら、迷わずに俺のとこに来い」




大くんの言葉に素直に頷く。



< 58 / 113 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop