甘い初恋は、イケナイ最後の恋。
「えっと……」
どう話せばいいんだろう。
大くんとは10年ぶりに再会しても普通に話せてたのに、言葉が出てこない。
その様子を見ていた学さんがゆっくりとした足取りで私の方に来た。
「明子さん、ご馳走さま。
ほら、芽依。早く歯磨きしないと保育園遅れるよ」
「あ、そうだ!はやくしないと!」
芽依ちゃんは私に手を振ってから、リビングから走って洗面所へ向かった。
手を振り返すこともできずにいると、学さんの視線を感じて振り返る。
「結愛ちゃんも遅刻しないようにね。
あ、そうだ。おはよう、結愛ちゃん」
学さんを見上げると、頭の上に向かって手が伸びてきた。
いきなりのことで驚いて体がピクッと反応してしまった。
それを見た学さんは伸ばしかけていた手を止めてしまう。
「年頃の女の子に触れればそうなるわよ」
「そうなのか?んー、難しいね。
私には結愛ちゃんくらいの娘がいなかったからな」