甘い初恋は、イケナイ最後の恋。
声のする方へ顔を上げると、前の席にいた彼が読んでいた本を閉じて私の方を向いていた。
「へ?あー、ずっと寝てばっかいたら翔に何か言われそうだなーって思ったの」
「何それ。まぁ、確かに言いたいことはあるけどね?」
「えぇ!?あるの!?」
なんだかほんとのことは言えずにほのめかしてしまった。
冗談で言ったつもりがまさかほんとにあるとは……
私の前にいるのは少し癖のある黒髪の翔は口角をわずかに上げた。
翔とは小学校の時から一緒で、幼馴染みと言っても過言ではないほどずっと一緒にいる仲。
小中そして高校二年生までずっとクラスが一緒という腐れ縁みたいのもある。
成績優秀、運動神経抜群、おまけに誰にでも優しい。
翔は紳士の中の鏡とも言える。
そんな翔の性格から翔のことを好きな女子はたくさんいる。
翔のことを"翔様"と呼んで慕ってる女子もいるくらい。
私もよく翔に渡して欲しいって言われて友達からラブレター預かったことあったな。
翔は一度も会話したことのない女子からのラブレターでもちゃんと返事を書いてたから、ほんとに紳士。