甘い初恋は、イケナイ最後の恋。
脱衣所に出ると脱衣カゴに綺麗にたたまれたバスタオルと大くんのスウェットが置かれていた。
まずは濡れた体を拭こうとバスタオルに手を伸ばす。
顔を拭くとバスタオルから幾度となく嗅いできた大くんの匂いが鼻から全身に行き渡る。
その匂いに安心するのと同時に思い出すのはさっきのお母さんたちが仲良く並んで歩く姿。
『結愛、あなたは最初から邪魔だったのよ』
『私たちの中に入らないでもらえるかな』
『わたし、お姉ちゃんなんていらない』
そう言われたわけじゃないのに、あの光景を思い出すと聞こえてくる声。
やめて。私を一人にしないで…
「…ふ……っ」
我慢できずに声を押し殺して涙を流す。
誰にも聞こえないはずなのに。
「ゆあ…!」
「…え、ひろ…くん?」
「……っ」
脱衣所のドアが勢いよく開いたと思って振り返れば、そこには慌てたような大くんがいた。
いきなりのことに流れる涙をそのままに振り返ったから大くんに泣いていることをバレてしまった。