男の娘。~絶対秘密の女装アイドル~
「ここじゃ話せないから、ついて来て」

廊下の方を指さすと風見はおとなしくつい

て来た。教室の外へ出ると、廊下の真ん中

にある階段を昇っていく。屋上へと通じる

ドアの前で立ち止まった。

「何だよ金沢くんってば。まさかとは思う

けど僕の事好きになっちゃったとか?」

思いがけない事を言われ吐き気がした。い

くら俺が女装をしてアイドル活動していると

はいえそんな趣味はない。

「いや、ごめん違う。それよりさ、ほんとに

俺の事誰にもバラしてないんだよね?」

「え?それはバラさないって言ったじゃ

ん」

「や、そうだけどさ・・・イマイチ信用出

来ないっていうか」

「はぁ・・・」

風見は俯くと軽く頭を掻く。顔を上げると

睨む様に俺を見てきた。

「あのさ、僕の事信用出来ないって言うけ

ど・・・だったら君はどうなんだよ。僕が

ゲイだって事、誰かに言ってたりして」

「それは・・・言ってないよ」

「ふーん。そんな事言われたって信用出来な

いな~」

風見は腕を組むと不服そうに口を尖らせて

そう言った。
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