男の娘。~絶対秘密の女装アイドル~
「いやぁ、何か熱があるみたいでさ・・・

今日は仕事を切り上げて帰ってきたんだ」

親父はそのままふらつきつつ階段を上がっ

ていく。自分の寝室に行ったのだろう。

「まあ、そういう事だから。ゆっくりさせ

てあげようよ」

聞き慣れた声がキッチンから聞こえてくる。

ひょっこりと顔を出したのはまぎれもなく

風見だった。

「おま・・・何でこんなとこにいるんだ

よ」

風見のストーカー行為に背筋が凍りつく。

俺より先に家の中にいるのが謎だ。

「ていうかお前・・・どうやってうちに入

ったんだよ」

「簡単だよ。インターホン押したらお父さ

んが出てきてさ。だからついでに自己紹介

しといた。『瑞希くんの友達・風見です』

って」

「・・・そしたら入れてくれたわけか」

「うんうん。そういうわけ」

親父が体調不良なのがいけなかった。普段

の親父は愛想がいい割にめちゃくちゃ警戒

心が強く見知った顔でなければまず人を家

に上がらせない。そんな親父が風見を家に

上がらせたという事はかなり判断力が鈍

っていたと思われる。

というより・・・いつの間に俺と風見って

友達になったんだ?
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