男の娘。~絶対秘密の女装アイドル~
「瑞希。熱愛記事見た。あれどういう事

だ?」

ああ、やっぱりおじさんも見たんだ・・・

俺は絶望的な気分になった。こんなに早く

世間に知れ渡ってしまうなんて想像もしてい

なかった。暗い気持ちを押し殺すと明るい

声で作り笑いする。

「あはは。あんなの誤解に決まってるだろ。

俺は男だし、そんな趣味ないよ。それにキ

スとか熱愛の証拠写真なんてないんだか

ら。ただのでっち上げだって」

「そうか・・・」

おじさんが全くヘラヘラしていない。俺は

それだけマズい状況に追い込まれていると

いう事か。本格的に何とかしないと輝に迷

惑を掛けてしまう。というか既に迷惑は掛

けてるけど。輝の仕事が俺のせいで減るの

は絶対にダメだ!

「まあ・・・どうするのかは瑞希次第って事

だな」

「それ、親父にも言われた」

「だろ?だって、お前の答えはもうとっくに

決まってるはずだ」

おじさんの思いがけない一言に俺の思考は

停止する。
< 66 / 81 >

この作品をシェア

pagetop