男の娘。~絶対秘密の女装アイドル~
「心配するな、瑞希」

「え?」

親父は俺の側までやって来ると肩に両手を

置いてきた。なぜかドヤ顔な事にイラッと

する。

「もうとっくに電話したよ。『高熱なので

今日は休ませます』って」

「お、親父・・・」

たまには役に立つんだな、という言葉は呑

み込んだ。今はそんな事より重要な事が待

っている。

「そんな事より、おじさん待たせてるよ

な!?早く行かねえと!!」

「おいおい、そんな事って「行ってく

る!!」」

トーストを口に咥えると親父のセリフをム

シして家を飛び出す。目の前にはいつもの車

が堂々と停まっていた。

「瑞希!早く乗れ!遅れるぞ」

おじさんが窓を開けて挨拶もなしに急かし

てくる。俺は急いで助手席に乗り込むとト

ーストを口に押し込んだ。

「ったく~、何してたんだよ瑞希。もう遅刻

確定だぞ」

「ごめん、悪かったよ。マジで寝坊しちゃ

ってさあ」
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