男の娘。~絶対秘密の女装アイドル~
「・・・すみません、遅れました」

重い扉を開けて中に入る。その途端に記者

が待ち構えていたかのように一斉にカメラ

のフラッシュを浴びせてくる。会見の様子

は全てテレビで3局同時に生放送されるか

ら、よく見ると情報テレビの女子アナウン

サーや顔馴染みのカメラマンまでいる。俺

の知らない間にかなり大掛かりな事になっ

ていたようだ。

「舞花ちゃーん!輝くんとの熱愛報道は本

当なんですか?」

「二人はいつから付き合ってたのかな?」

真ん中に大きなテーブルがあって1つイスが

置かれている。イスに座った途端そんな質

問が次から次へと飛んでくる。記者やメディ

ア関係者の人数はざっと100人は超えてい

た。こんな状況初めてだ。


「・・・あの!聞いてください!」


俺は質問攻めを遮った。今だ。正直に言う

んだ。俺の気持ちを。今まで隠していた事

実を。

「・・・熱愛報道は・・・誤解です。そんな

事、一切ありません!それから・・・」

みんなが息を飲んで静かに俺を凝視してい

る。俺はスゥッと酸素を取り込むと声を張

り上げた。
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