極上スイートキス~イケメンCEOと秘密のコンシェルジュ~


「素敵な車ですね」


 皮のシートに身を収め、落ち着かない様子で言うと、

「車だけ?」
「え……あの」
 
 思わぬ返球に困ってしまった。

「いいね、そういう反応。やっぱり仕事中とちがうな」


 からかわれただけかと判断し、みのりは冷静さを保とうとする。
 このままでいたら、きっと食事終わりまで心臓がもたない。 


 車は滑らかにスタートし、海沿いのドライブとなった。

「夜の海のドライブってのもいいな」
  
 そっとハンドルを握るその横顔を盗み見する。
 
 凛々しい横顔は、視線にその気づいたのか、ふとみのりを見て笑った。


「そんなに見るなよ。照れるだろ」
「み……見てませんっ」

 笑顔が眩しくて、思わず俯く。
 
 まるで夢を見ているようだ。
 車を運転する紘平を見られるとは。
 
 まして自分が隣に乗って、食事に行くことになるなんて。
 

 何かを期待しちゃいけない。


 だけど、こんな風に接してしまったら、どうしようもなく、ときめきが止まらなくなっていた。

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