極上スイートキス~イケメンCEOと秘密のコンシェルジュ~


「あ、あの……」


 動揺したみのりは、けれど指を解けずにいた。
 
 紘平が何を言わせようとしているか理解した。
 
 そんなことを口にしていいのか一瞬ためらう。


「そろそろ、俺のこと客扱いするのはやめてくれ、せめてデートしてる時間くらいは」
 

 デート、という響きがみのりの心に落ちてくる。
 
 そうか、この時間はそういう自由が許されるのだと。


「はい……」
 

 素直に返事をして、改めてグラスを手に取った。
 

 解いた紘平の指に、指輪が見える。
 

 どきどきしたらダメなのに……。
 
  
 紘平にとっては、自分に惚れていた後輩を見つけた楽しさと。

 つかの間の遊びを愉しんでいるだけかもしれない。
 
  
 そうわかっても、掛けられた魔法をまだ解きたくない。
 

 奇跡みたいな再会。
 そしてこんなに夢みたいな時間。

 

 目の前で魅力的に微笑む彼を見つめながら、この時間を長引かせるための媚薬を流し込むように、みのりはワインを流し込んだ。


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