極上スイートキス~イケメンCEOと秘密のコンシェルジュ~
予期せぬ言葉に動揺していると、
「伊崎さんも守備範囲広いなぁ、宿泊先のコンシェルジュさんにも手を出すなんて」
握った手を上下に振るようにして司が続けた。
そしてますます興味深くみのりを観察している。
「またくだらないこと言って」
紘平は、みのりから司を引きはがすように間に入る。
「篠田は大学時代の俺の後輩だよ、偶然ここで再会したんだ」
「へー、それで食事に行った訳ですか」
そうです、とみのりが頷いて答えると、
「再会してからすぐデートって……」
「えっ」
司に鋭い眼差しを向けられ、みのりはどきりとした。
「篠田さん、もしかしてうちの社長の元カノだったりします?」
「はっ、ななな何言ってるんですか!」
そんな訳がない、めっそうもないと首を振っていると。
「いてっ」
「変な勘ぐりやめろっつの」
紘平は軽く司の頭を小突く。
司は小突かれた頭に手を添えると、大げさに痛がった。
「パワハラだ」
「だったらお前のはセクハラだ」
2人のやり取りを見ていると、相当気心を許した間柄だと分かる。
上司と部下というより、先輩後輩だ。
「それ以上ふざけてると、プレゼンのお前のパート増やしてやる」
「勘弁してください、それこそパワハラです」
司は手をひらひらとさせながら、その場を離れていく。
「じゃ俺、チェックインして、部屋で仕事しまーす」
去っていく司を見て、紘平は大きく溜息をついた。
「まったくあいつは……」
「面白い部下さんですね」
「ていうか、タチが悪い」
腕組みをしつつ紘平は言う。
「まあ、面白い企画を出してくるのは事実だけどな」
言葉には司に対する信頼があった。
司の様子からも、紘平を慕ってついて来ていることは見て取れた。
「クリエイティブな職場だから、癖が強い奴が集まるけどよろしくな」
「はい、わかりました。何か必要なことがあればいつでも仰ってください……って、また仕事モードになりました、すみません……」
紘平は爽やかに笑うと、ふわりとみのりの頭を撫でた。
その優しい仕草に、みのりの心は一気に高鳴る。