極上スイートキス~イケメンCEOと秘密のコンシェルジュ~
「そ、そうなんですか?」
伊崎ほどの男性であれば引く手あまただろうに、その言葉は意外だとみのりの心が大きく揺れる。
「うん、珍しいかも」
デート相手がたくさんいるわけではないと言われたようで、司の言葉にますます胸が高鳴った。しかし、
「てことは、ユリナさんも公認ってことなのかな」
「え……ユリナさん?」
見知らぬ女性の名前に動揺していると、司はそれを見逃さずにどこかみのりの心をもてあそぶように続けた。
「伊崎さんにあの指輪のこと聞いた?」
瞬間、みのりの心に引っかかっていた薬指の存在を思い出す。
わざわざあの指に嵌めているということは、ただのアクセサリーではないのはわかる。
それは、伊崎にしかるべき相手がいることを示していた。
(いったい誰のこと……?)
何も知らない。
みのりが知っているのは、大学時代の伊崎だけだった。
急に不安のもやが胸占めていく。
みのりは静かに首を振ることしかできなかった。