極上スイートキス~イケメンCEOと秘密のコンシェルジュ~
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「篠田さん?」
はっと我に返ると、司がみのりの顔を覗き込んでいた。
「どうしたの、ぼーっとして」
「いえ……何でもないです」
一気に溢れだしたた過去の記憶。
鍵をかけて、思い出として心の奥にしまっていた。
けれど、その時の思いが鮮明によみがえる。
結局告白できなかったけど、あの時の記憶を胸にずっとがんばってきた。
私の心の中にはいつも先輩がいたんだ。
いつか忘れるものだと思っていた。
けれどずっと、憧れは消えなかった。
だから、こんなふうに再会してしまったら……。
ようやくたどり着いた結論。
やっぱり、自分は紘平のことを好きなのだと。
そうなんだと、むしろ自分自身に安堵した。
変わらずにあった思いを解放できて、なぜかほっとしている自分がいる。
「それで、昔から尊敬できる先輩、は今でも変わらず?」
司は興味を持った顔で聞いてくる。
恐らく、みのりの反応から、紘平に憧れていたことはもうとっくに見抜いているのだろう。
それをわかって聞いてくる。
軽い誘導尋問だとわかった。
けれど。
「はい、変わりません」
真っ直ぐに司を見て言った。
それはまるで、紘平にするような。
はっきりとした告白。
「……」
そんな素直な瞳を見つめ、司は一瞬言葉を失う。
けれどすぐに、いつもの柔らかで、どこか達観した笑みを浮かべた。
「いいね、篠田さんて」
「え?」