極上スイートキス~イケメンCEOと秘密のコンシェルジュ~
間近に迫った紘平の口元が、優しく引き締まる。
ああ、この笑顔。
みのりは、自分胸が高まっていくのを感じながら、懐かしい気持ちに誘われていた。
この眩しい笑顔が好きだった。
そう思い出しながら、震える声を出来るだけ抑える。
「それは……光栄です」
本当は嬉しくて飛び上がってしまいそうなのを心に押し込めて、短く答えた。
大学時代、いつも彼は周りに人を連れて、常に羨望を浴びていた。
そんな彼にとって、自分は地味な部員の1人に過ぎないだろうと思っていた。
もし好意を感じ取られていたとしても、自分の存在は大勢いる彼のファンと同じように受け取られていただろうと。
それくらい紘平の存在はみのりには遠く、ずっと憧れでしかなかった。
紘平が卒業してしまえば、そっと終わらせてしまわなければいけなかった密やかな憧れ。
だからこんなふうに偶然に再会していることも、普通に会話を交わしていることも、なんだか信じられない。
「光栄って、なんだか硬い言い方だな」
軽く笑って紘平はみのりを見つめる。
グラスを受け取って再び軽く口を付けた。
「すみません、癖で……」
自分は仕事モードで、そして紘平をお客様だと認識しているせいかもしれない。
だから動揺を隠して、普通に会話出来ているのかも。
これが大学時代であれば、恥ずかしくてこんなふうにじっと彼の目を見つめることなんてきっと無理だった。