極上スイートキス~イケメンCEOと秘密のコンシェルジュ~
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揺れる指先に気が付いて目が覚めた。
一瞬、きゅっと握りしめられたような。
暖かな感覚。
「あ……」
顔を上げると、紘平がぼんやりとみのりを見つめていた。
「……先輩っ」
顔の近さと、いつの間にか眠ってしまった自分に、恥ずかしさがこみあげる。
「俺……あの時、倒れて…ああ、そうか」
紘平は、ひとつひとつ思い出すようにつぶやき、状況を理解した様子だった。
「具合はどうですか……あっ」
しっかりと握られていた指先に気付いて、慌ててしまう。
「……付き添ってくれてたんだな、ありがとう」
紘平はその手を離すこともせずに、ゆったりとした笑顔を浮かべた。
繋いでいたい、そんな気持ちから、みのりもそのまま握り返す。
「はい、司さんは仕事のためにホテルに戻りました」
「そうか……借りが出来たな」
天井を見つめ小声でそう言うと、静かにみのりへと視線を向ける。
「篠田にも」
「いえ、私は何も……ここにいただけです」
「それが一番嬉しい」
紘平の声が優しく響く。
繋がれたままの手を口元へ持っていかれ、わずかにキスを落とされた気がした。
「目が覚めて、篠田がいてくれてほっとした」
「先輩……」
思いがけない言葉に、胸がきゅっと鳴る。
私でいいんですか、と心の中で囁いた。
「リーダーが倒れてちゃ話にならないな」
苦笑を浮かべる紘平に、みのりは首を振る。
「いえ、それだけ頑張っていたってことです。しかも、かなり無理をしていたんですよ」
「そうかもしれないけど、結果を出さないとな……つ」
そう言って体を起こした紘平は、まだ頭痛が残るのか頭を抑えた。