極上スイートキス~イケメンCEOと秘密のコンシェルジュ~
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「プレゼン三日前に倒れるとかマジないんですけど」
「悪い」
「いっそこっちが倒れそうなんですけど」
「だから悪いって言ってるだろ」
ホテルに戻った紘平は、すぐに会議室を貸し切っているスタッフに合流した。
案の定、紘平の代わりに現場を仕切っていた司からは文句の嵐が吹き荒れた。
しかし、司の口の悪さには慣れているのか、紘平は平然として返している。
「お前がいて助かったよ」
「……終わったら豪快におごってもらいますよ」
なんだかんだいっても2人の信頼関係はしっかりしている。
仕事の進捗に支障がなかったことを知り、みのりも胸をなでおろした。
「あの、先輩まだ万全ではないので、くれぐれも無理しないように見張っててください」
みのりがそう耳打ちすると、司は首を振る。
「無理でしょ、見張っても」
「でも……」
「あの人、そーゆー人。篠田さんもわかってるクセに」
確かに。
完璧主義で責任感の強い紘平には、何を言っても無駄なのはわかる。
「心配しなくても、今度は限界来たら、自分でセーブするんじゃないの。もう篠田さんに迷惑かけられないだろうし」
不安げなみのりを見た司が、安心させるように言う。
「ならいいんですけど……」
司はみのりをじっと見つめ、またあの企むような笑顔を見せた。
「随分、心配するんだね、徹夜続きなのは俺もですけど?」
「え……、あ、そうですよね」
大丈夫ですか、と付け足すけれど司は不満げに顔を寄せてくる。
「篠田さん、紘平さんと病室でいい雰囲気だった?」
「えっ」
思わぬ言葉に驚きの声が出た。
「な……何も」
抱き締められた感触を思い出すと、みるみる顔が染まっていく。
「また顔赤いよ」
目ざとく突っ込まれ、みのりは手のひらで顔を覆った。
「ほんとカワイイよね、篠田さん」
「な……何言ってるんですか」
自然を装うとすればするほど、おかしくなってしまう。