極上スイートキス~イケメンCEOと秘密のコンシェルジュ~


「お…お仕事は、順調ですか」

 動揺を隠すように聞くと、背後から紘平の深い息が聞こえる。


「まぁね、こんな状態だけど……間に合うように動いてる」

「あと三日ですよね……ちゃんと寝れるんですか」

「うーん……」

 あんまり、と紘平はつぶやいた。


「正直、その暇はないかな」

「先輩……」

 今朝、倒れたことを忘れたんですか。

 と、喉まで出かかって、振り向くと、紘平が指先をみのり口元に押し当てた。

「ん…」
「言いたいことはわかってる」
「言いたいです」

 こんなふうに甘く止められても、これは我慢できない。


「まいったな」

 どうぞ、と紘平が眉を寄せた。

「ちゃんと睡眠はとって下さい、お仕事が大事なのもわかるけど、倒れたら元も子もないです」

「だよな」

 百も承知、というふうに紘平は頷いた。


 紘平が今、仕事を追い込まなければならないことはわかっている。

 けれど、そばで見守っているみのりには、仕事より紘平の身体の方が気がかりだった。


「……心配なんです」

 前を向いて、そう囁くと、紘平の腕が伸びて来た。

 はっとしていると、後ろから優しく抱きしめられる。

「本当は相当つらいはずなのに……」

 この状態で、普通に仕事に復帰した紘平には驚いた。

 体力というより、気力でもっているのだろう。


「確かに、きついかな」

「だったら……」


「でも、俺がそんなこと言ってられないし。スタッフ全員、全力でやってるから」

 真摯な言葉が胸に響く。


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