bittersweet
1.出会い
コーヒーと妄想
「もうそろそろなくなりそうだったな・・・」
会社帰りの夕暮れ時、乗り換え駅でいったん降りて私は行きつけの喫茶店に向かう。
路地裏の目立たない場所にその「三島珈琲」はあった。
私はコーヒーが好きだ。
私くらいの歳の女の子はどっちかっていうと紅茶党が多いのかもしれないけど私は絶対にコーヒー党。しかもこの三島珈琲の豆でないとだめなのだ。私のひそかなこだわり。
店の中を見回す。カウンター席の壁側。一番奥が私の指定席だった。
いつもは開いてるのに今日は男の人が座ってる。
あーついてないな・・・
軽くため息をついて入り口側のカウンター席に座った。
「フレンチでいいんだよね」
マスターが声をかけてくれる。
「はい。あと豆も欲しいんでお願いします。フレンチを500グラム」
マスターが入れてくれたコーヒーを飲みながらぼーっとするのが好きだ。やっぱり同じ豆でもこうは上手に入れられないなと思う。
私のいつもの席のカウンターの奥をチラッと見た。
やっぱり男の人がコーヒーを飲みながら同じようにぼーっとしていた。
同じ歳くらいかな。きれいな横顔だな・・・と少しの間みとれる。
なんとなく同類のような気がして親近感もわいたり。
この後間違ってぶつかったりして目と目が合って恋に落ちたりしてと妄想してみた。
私だって別に男の人に興味がないわけじゃない。ただ現実感がないだけで。妄想するだけなら楽しいし。
ひとしきりそんなことを考えていたら結構時間がたってた。
そろそろと立ち上がって振り返る。
「わっ!」
向こうも帰るところだったのだろう。
私の後ろを通りがかったさっきの男の人に思いっきりぶつかった。
その拍子に持っていたカバンが吹っ飛ぶ。
「す、すいません」
「こちらこそ。すいません」
そんなやり取りの後、男の人が私のカバンを拾って手渡してくれた。
「あっ、ありがとうございます」
妙にドギマギして口ごもる私。男の人はにっこり笑って去っていった。
特に恋に落ちたわけでもなかった。現実なんてそんなもん。
そして私はいつものように帰路に着く。
会社帰りの夕暮れ時、乗り換え駅でいったん降りて私は行きつけの喫茶店に向かう。
路地裏の目立たない場所にその「三島珈琲」はあった。
私はコーヒーが好きだ。
私くらいの歳の女の子はどっちかっていうと紅茶党が多いのかもしれないけど私は絶対にコーヒー党。しかもこの三島珈琲の豆でないとだめなのだ。私のひそかなこだわり。
店の中を見回す。カウンター席の壁側。一番奥が私の指定席だった。
いつもは開いてるのに今日は男の人が座ってる。
あーついてないな・・・
軽くため息をついて入り口側のカウンター席に座った。
「フレンチでいいんだよね」
マスターが声をかけてくれる。
「はい。あと豆も欲しいんでお願いします。フレンチを500グラム」
マスターが入れてくれたコーヒーを飲みながらぼーっとするのが好きだ。やっぱり同じ豆でもこうは上手に入れられないなと思う。
私のいつもの席のカウンターの奥をチラッと見た。
やっぱり男の人がコーヒーを飲みながら同じようにぼーっとしていた。
同じ歳くらいかな。きれいな横顔だな・・・と少しの間みとれる。
なんとなく同類のような気がして親近感もわいたり。
この後間違ってぶつかったりして目と目が合って恋に落ちたりしてと妄想してみた。
私だって別に男の人に興味がないわけじゃない。ただ現実感がないだけで。妄想するだけなら楽しいし。
ひとしきりそんなことを考えていたら結構時間がたってた。
そろそろと立ち上がって振り返る。
「わっ!」
向こうも帰るところだったのだろう。
私の後ろを通りがかったさっきの男の人に思いっきりぶつかった。
その拍子に持っていたカバンが吹っ飛ぶ。
「す、すいません」
「こちらこそ。すいません」
そんなやり取りの後、男の人が私のカバンを拾って手渡してくれた。
「あっ、ありがとうございます」
妙にドギマギして口ごもる私。男の人はにっこり笑って去っていった。
特に恋に落ちたわけでもなかった。現実なんてそんなもん。
そして私はいつものように帰路に着く。