bittersweet
メルアドを変えて、吉岡くんの番号を着信拒否した。

自意識過剰気味だとは思ったけど少しでも期待する気持ちを吹っ切りたかった。

また何事もなかったかのように連絡されるのも辛いから。

高田さんはあれからよくご飯に誘ってくれる。

以前は月2,3回くらいだったのが週1、2回くらいになった。

いつもみたいに仕事と彼女のグチ聞かされるだけなんだけどなるべく1人にならないようにと気を使ってくれてるのがわかる。

久美もよく連絡をくれる。よっぽど心配されてるみたい。

「吉岡のやつ前にもましてバイトに精だしてるらしいよ。同伴もバンバン入れてるみたいだし。ほんと早くに本性がわかってよかったよ」

この間もそういって怒ってた。

あぁやっぱりね・・・。

まだそういう話聞くのは辛い。早く忘れないと。


今日は約束もないし仕事も早く終わったからひさびさに三島珈琲店にでも行こうかな、
と駅前通りをとぼとぼ歩いてると向こうから手をつないでイチャイチャしてるバカップルっぽい2人が歩いてきた。

あ・・・。

吉岡くんとまた新しい女の子だ。

なんでまた会うんだろう。

隠れる場所もないので知らんふりでやり過ごそうと顔を伏せてすれ違おうとしたとき

「ちょっと!」

吉岡くんが気づいて突然私の腕をつかんできた。

「なんで急に着信拒否とかするわけ?オレなんかした?わけわからないんだけど」

吉岡くんが怒った口調で声をかけてくる。

隣の女の子とは相変わらず手をつないだままだ。

なんだこの状況。

「ちょっと遼ォ。このコ誰なの?」

隣の女の子があからさまに不機嫌になってる。

「邪魔しちゃ悪いから失礼するね」

私はつかまれた腕を振り解きそう言い捨てて走り出した。

どうして・・・もうヤダよ・・・

涙が出そうになるのを必死でこらえた。
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