bittersweet

午後のコーヒー

そういえば最近バタバタしててしばらく行ってなかったな。

私の足は自然と三島珈琲に向いていた。

こういう気持ちのときはおいしいコーヒーを飲んで頭を空っぽにするに限る。

乗り換えの駅改札を折り路地裏に入る。

ちょっと寂れた雰囲気の三島珈琲がいつものようにそこにあって、なんだかすごく懐かしい感じがした。

「お?久しぶりだね」

マスターが声をかけてくれた。

いつもの指定席カウンターの奥にはやっぱり誰かが座ってた。

あーあ。ため息をつく。

ふと指定席に座ってた男の人がこちらを見た。

「あ・・・」

吉岡くんだ。この店で見るとずいぶん雰囲気が違って見えるけど間違いない。

以前にこの席に座ってたのもきっと吉岡くんだったんだろう。

今ならわかる。

「琴美ちゃん」

吉岡くんも私に気づく。

離れて座るのもおかしいので隣のイスに腰掛ける。

「あのさ・・・この間は・・・ごめん」

吉岡くんが言った。

「ううん。私の方こそ・・・」

とりあえず謝り合う。なんか変な感じだ。
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