bittersweet
「オレさ・・・実は琴美ちゃんのこと前から知ってたんだよね」

吉岡くんが言う。

「オレもここのコーヒーが好きでよく来ててさ。いっつもこの席に座ってただろ?」

吉岡くんもよく来てたなんて全然気づかなかったよ。私よっぽどぼーっとしてたんだな・・・

「なんか妙に気になってて。横顔綺麗だなとか思ってさ」

私も前にそう思ったよ。吉岡くんのこと・・・

「前にさ。この席開いてたから座ってみたんだ。そしたら琴美ちゃんが入ってきてあからさまにがっかりした顔しててさぁ。アレはちょっとおもしろかった」

吉岡くんが笑う。

「そしてそこでぶつかったんだよね」

と私が言う。

「あぁ、覚えててくれたんだ」

吉岡くんが嬉しそうに言った。

「だから合コンで琴美ちゃん見て嬉しくてさー。運命じゃないかって。でも琴美ちゃん全然オレのこと覚えてなかったみたいだったから言い出しにくくて。話したらイメージどおりのコでさ」

吉岡くんが続ける。

「琴美ちゃんが好きだって言ってくれたときすごくうれしかったんだ。だから琴美ちゃんが突然いなくなってびっくりしたし腹が立った。ほんとにわけがわからなくて。でも今思うと仕事柄そういうことに慣れすぎて告白されることも当たり前に思ってたっていうか・・・」

「吉岡くん・・・」

胸がドキドキする。
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