bittersweet
「琴美ちゃん、ついでだから駅まで送ってくから」

吉岡くんが言ってくれた。

「え?いいよ。まだ9時だし近いし1人で大丈夫だよ」

「いいって。ほら行こう」

2人で並んで歩く。そいえば同年代の男の子と並んで歩くなんてこと今まであったかな。会社の先輩とならたまに食事に行ったりくらいはしてるけど。

「吉岡くん、こんな時間からバイトなんて大変だね」

「金曜日の夜はかき入れ時だからね」

「なんのバイトしてるの?」

「んー、接客業」

話しながら歩いていたら駅まであっというまだった。

「ねぇ。メルアド教えてくれない?」

駅について吉岡くんがそう言った。

「えっ?あっ、うん」

軽く動揺する私。メルアド聞かれるなんて思わなかったよ。

赤外線通信で交換する。

「そのうち連絡するからお茶でも付き合ってよ。じゃあね」

吉岡くんが去っていった。

私は携帯を握り締めてしばらくぼーっとしていた。
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