只今上司がデレデレちゅぅ!!〜溺愛上司に愛されて〜
プロローグ
この状況は何だろう。

「みう~」

重たいであろう平均体重の女の人を膝の上に座らせ、頬をすりすりしたり首元の匂いを嗅いでくる。

「僕の美羽は、何でこんなにも可愛いの?」

ものすごく甘えた声で言うこの男は、私、柊木美羽の仕事の上司であり、会社の社長でもある薙田悠哉。

重くないのかと訪ねたら、

「重さなんて微塵も感じないよぅ」

ときつく抱き締めてくるしまつである。

上司兼社長でもある薙田悠哉にプロポーズされたのはつい先日のこと。

どうして私なのか、どうして私だったのか。

その答えは今も教えてはくれない。

「…社長、お手洗いに行きたいのですが…」

「分かった!僕が抱っこして連れて行って手伝ってあげるね」

キラキラの子犬のような目で何を言っているのか。

ため息を深くついてトイレに行くのを諦める。

「あれ?行かないの?」

アナタノセイデイケマセン。

なんて言った日には…恐ろしい日のハジマリ。

彼にプロポーズされて、同きょ「同棲っ!」…を始めて早数日。

私は社長に従ったことを後悔した。

過去の私に言いたいこと。

それは、

『イケメンだからといってホイホイ言うことを聞くなっ』

毎夜毎夜思い出す度に後悔する。

「はあ…誰か夢だと言って…」

「夢だな」
「夢ではないわよ」

同時に聞こえてきた声で現実に戻される。

「…どっちよ」

左の耳からは社長の悠哉の声、右の耳からは同僚であり友人である中田桃歌。

「くだらないことを話してないで、仕事をしたらどうだ」
「はーい」
「…すみません」

悠哉に注意され、美羽と桃歌は自分のデスクにあるパソコンを立てた。
< 1 / 114 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop