只今上司がデレデレちゅぅ！！〜溺愛上司に愛されて〜
美羽は上司や先輩に聞きながら午後の仕事も難なく終わらせた。

美羽と桃歌の仕事の速さは上司からも褒められるほどのものだった。

しかしそれは同僚の妬みの種でもあった。

いつからか美羽と桃歌は同僚たちからハブられるようになった。

「何か、すごいね…。女って怖いわ～」

美羽と桃歌の向かいのデスクにいる先輩方が噂をしていた。

入社してもう数日が経つ。

美羽だけが孤立するようになってしまった。

今日は土曜日、明日は悠哉と会う約束のある日。

今の気持ちを引きずらないよう、気持ちを上げようとするがどうにもならない。

美羽は無意識の中でパソコンの電源をつけた。

デスク画面には美羽の好きな植物が映っている。

「あ、そういえば…」

美羽は独自の研究が終わってないことを思い出し、そのままパソコンに熱中した。

珈琲が入ったお気に入りのマグカップを片手に進めていく。

チュンチュチュン…

外で雀が鳴く声がする。

カーテンの隙間から差し込む光で美羽はハッと我に返った。

熱中しすぎて朝になったことに気がついていなかった。

「あ…ヤバい！！」

美羽は急いでお風呂に入る。

昨日が土曜日だという事は今日は日曜日にあたる。

そう、悠哉との約束当日。

美羽は一睡もしていないのだ。

準備をしていると部屋の時計は朝の８時を指していた。

待ち合わせの時間は午前１０時。

あと２時間、美羽は一旦気持ちを落ち着けることにした。

昨夜から朝方にかけてのデータを保存してあるか確認する。

「うん、出来てた…」

パソコンを閉じて確認する。

時間とは早いものだ…。

既に時刻は９時半を超えていた。
< 15 / 114 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop