只今上司がデレデレちゅぅ!!〜溺愛上司に愛されて〜

気づいた後は…

美羽は自覚してから夜、眠れなくなってしまった。

心配した桃歌は美羽を泊まりに誘った。

美羽が悠哉に許可をもらうためメールを送った。

返信はすぐにきて、『わかった』と一言素っ気なかった。

美羽は一度悠哉との家に戻り荷物を用意する。

それから桃歌の家に向かった。

桃歌の家に着くと既に夕飯の準備から敷布団やお風呂、何から何まで準備されていた。

「桃歌…、一人で大変だったんじゃ」
「ううん、そこまで。美羽、荷物は部屋に置いてきてね」
「うん分かった」

美羽は言われた通り桃歌の部屋に自分の荷物を運んだ。

美羽がリビングに行くと、桃歌がお酒の缶を開けていた。

「ふふ、早くない?開けるの」
「いいの!久々なんだから…んぐっ。…それで何かあったの?」
「…聞いてくれる?」
「そのために誘ったのよ」
「そっか、ありがとう。あのね…」

美羽は桃歌に打ち明ける。

桃歌は真剣に美羽の話を聞いていた。

美羽は話すたびに声のトーンが高くなっていた。

話を終えると一息つく。

桃歌は何故か笑っていた。

「どうしたの?桃歌」
「いいや、美羽はいつも一人で抱え込むから。嬉しいの」

迷惑をかけているはずなのにと心の中で美羽は思う。

しかし言葉にしてはいけないことだという事は分かった。

こういうときに言う言葉は…。

「ありがとう、桃歌」

美羽も嬉しそうに笑った。

「それでも、そうか…良かったな」
「え?」
「美羽が、人に恋をすることができて良かったなって。だってずっと美羽の一番は…」

そこまで言って桃歌は口を閉ざす。

美羽はにっこり笑って、

「そっか、桃歌には話したっけね」

思い出したように切ない顔をする。

桃歌は頭を振って美羽と向き合った。

「美羽、これからが大変だからね!」
「え、あ…はい!」

美羽と桃歌はずっと楽しそうに笑っていた。
< 40 / 114 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop