只今上司がデレデレちゅぅ!!〜溺愛上司に愛されて〜
美羽と悠哉がホテルに着くと、フロントの人に案内された。

中に入るとにこにこ微笑んでいる悠哉の両親と、何故か睨みつけている美羽の弟の美塁と美来、そして父親。

異様な空気を醸し出している一室には誰も近寄ろうとはしなかった。

「お父さん、美塁、美来」

美羽は悠哉の手を離し三人に駆け寄る。

「美羽…後で話がある」
「…はい」

父親からそう言われ美羽は不自然に空いている美塁と美来の間の席に座る。

「お前も座りなさい、悠哉」

にっこり笑っているのに何か威圧を感じる会長の笑顔。

悠哉は何も言わず会長の隣に座った。

すると美羽の父親が口を開く。

「悠哉くん、本当に娘でいいのかね?美羽は器用で面倒見もいいが人に頼るだとか甘えることを知らない」

そう言うと悠哉は首を振り、

「確かに美羽さんは甘えるのが極端に下手です。本人にも口にしてもらいますが、大抵はご友人や私が気づきます。それに…私がいいのは美羽さんなのです。美羽さんでなきゃダメなんです」

美羽は悠哉の言葉に涙を流す。

美塁も美来も真剣に聞いていた。

「そうですか、娘をよろしくお願い致します」

美羽の父親はにっこり笑いお辞儀をした。

「姉ちゃん泣かしたら許さん!」
「…許さん。美羽、いつでも帰ってきてね。待ってるから悠哉さんと一緒においでね」

美来は優しく微笑む。

「…ありがとう、父さん、美塁、美来」

美羽は涙を浮かべ笑った。

「では、こちらも…」

会長が美羽に対して話しかける。

「美羽さん、こいつは昔から束縛癖があってですね?何回も女性に逃げられてるんですわ。それでもよろしいですかな?」
「私は私の意思で悠哉さんを選びました。どんな人がいたとしても私は悠哉さんがいいです」

美羽は涙を拭いて真剣に答える。

結愛は涙をハンカチで拭い、会長は満足そうに頷いていた。

会長と美羽の父親が意気投合し、結愛は美塁と美来に興味津々になっていた。

結愛と双子は何か約束をしていたが、美羽が聞いても教えてはくれなかった。
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