只今上司がデレデレちゅぅ!!〜溺愛上司に愛されて〜
美羽はすぐ桃歌に電話を入れた。

『はい、もしもし』
「あ、桃歌!?」
『美羽、受かったの?』
「うん!受かった!」
『そっか、よかったね!私も受かった。』

美羽と桃歌は大学で会おうと約束して電話を切った。

美羽は鞄の中に封筒を入れて家を出た。

「美羽!」
「桃歌!!」

2人は大学で会うと抱き合った。

「おめでとう、桃歌」
「おめでとう、美羽」

美羽と桃歌はお互いのゼミの先生の研究室に行った。

「先生!」

美羽が研究室に入るとゼミの先生は他の生徒とお茶会をしていた。

「どうしたんですか?柊木さん」

美羽は先生に近づいて先生の手を取った。

「面接結果さっき届いて、受かりました」
「えっ!?」

美羽は鞄の中に入れた封筒を先生に渡した。

先生は一度美羽の顔を見て封筒から紙を取り出した。

「…本当ですね。おめでとうございます!」
「ありがとうございます!!」

パチパチパチ…

ゼミの先生とそこにいた何人かの生徒が美羽に拍手を送った。

美羽は先生から封筒を返してもらい、鞄の中にしまった。

桃歌と約束している学食に向かい、研究室を後にした。

美羽が学食に行くと、桃歌の向かいに健翔が座っていた。

「あ、美羽」
「おお、美羽。おめでとう」

美羽は少し表情を曇らせ桃歌の隣に座った。

「ありがとう…だけど何で健翔がここにいるの?」
「俺は研究レポートの提出。後は暇だからここに来たら中田がいた」

桃歌はそれに頷くだけだった。

美羽は納得したのか、口を閉じた。

「でも、良かったじゃん。あんなに落ち込んでいたけどさ…受かって」

健翔は桃歌と美羽とは違って大学の院生になることにした。

「今日、どっか行く?お祝いに」

健翔が提案するが、2人は揃って首を横に振った。

「ありがたいけど…いいや。今の緊張感?を忘れたくない」
「私も同じかな」

美羽の言葉に桃歌も同意した。

美羽と桃歌は健翔と別れて大学を出た。

「美羽…どうかした?」

大学を出てから一言も話さない美羽に桃歌は話しかける。

「ううん、何でもない。…でもまだ怖い」

少し震えてる美羽に桃歌は苦笑いを浮かべた。

「…私は楽しみかな。親に言われて大学入ったけど、何だかんだ楽しかったし」
「私も楽しみだし嬉しくも思うよ?でも最初に失敗しちゃってるし」

桃歌は俯く美羽の両頬を思いっきり引っぱたいた。

「くよくよしないの。いつもの笑顔で頑張って」
「いひゃい…」

美羽はヒリヒリする両頬を擦る。

「ありがとう、桃歌」

美羽は顔を上げて笑った。

いつも自分に勇気づけてくれるのも、立ち直らせてくれるのも親友である桃歌だった。

美羽は改めて心の中で桃歌に感謝した。
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