只今上司がデレデレちゅぅ！！〜溺愛上司に愛されて〜
次の週末、響輝は桃歌と実家の方に来ていた。

「海、綺麗ですね」

電車の窓から見える海はとても澄んでいて桃歌はずっと眺めていた。

「俺も久々に帰って来ました」
「なかなか帰らないんですか？」

桃歌が響輝に聞いた。

「今よりも忙しくありましたからね」

響輝は笑顔で答える。

すると、桃歌は少し俯いた。

それに気が付いた響輝は、

「どうかしましたか？」

首を傾げた。

桃歌は首を振り、

「いいえ、そうではなく…。折角の里帰りですからもうちょっと気を抜いてください」

微笑んだ。

「では、桃歌さんも友人と話すように」

響輝も桃歌に提案した。

「え、でも…」
「いいから、君がいやすいように」
「はい！」

響輝と桃歌は微笑み合う。

駅に着くと響輝が歩き出す。

「近道があるんですよ」

そう言う響輝の後ろを桃歌はついて歩いた。

道中、響輝は後ろを歩く桃歌に話していた。

「俺の家は共働きで、家にいない両親の代わりに祖父母が育ててくれたんです」
「え、じゃあ…」
「はい、実家という実家はないので、育った家を実家と呼んでます」

これから行くのは祖父母の家だと響輝は言った。

「そうなんですね。…いいな」

桃歌が小さく呟いた言葉が聞こえたのか、

「いいですかね？」

響輝は立ち止まり後ろを振り向いた。

「はい！私は気に入りました」

桃歌は満面の笑みで言った。
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