只今上司がデレデレちゅぅ！！〜溺愛上司に愛されて〜

夕方、縁側に座ってた桃歌の隣に響輝が歩み寄る。

「今日もお疲れさまでした」
「あ、響輝さん。はい、お疲れさまでした」
「隣…座っても？」
「どうぞ」

桃歌に了承を得て隣に座った。

「それで、お話があるんですよね？」

響輝から繰り出す。

「あ、はい…」

桃歌は俯いた。

「…どうかしたんですか？」

響輝がそう聞くと、

「私には、普通の家族とか家庭と呼ばれるものが分かりません」

桃歌は俯きながら話し始めた。

響輝はそれを黙って聞くことに徹した。

「私には上に兄弟がいるのですが…兄や姉、弟は期待されているのに対して両親は私をいないものとしました」
「いない者…」

響輝は桃歌の言葉を口に出して呟く。

「私には期待していないと、何回も言われてきました。学校でテストを受ける度『貴方には期待していないわ』と…。家にある机の中は100点満点のテストばかりが眠っています」

今でも、少しだけでも思い出せば泣きそうになる。

桃歌は涙を流さないよう、堪えながらゆっくりと自分の中の気持ちを言葉にしていく。

響輝は寂しそうな表情で桃歌を見つめた。