いじめから救ってくれた捨て猫
どんどん出てくる血を僕は飲み込みました。

どのくらいの時間が経ったのか分かりませんが、出血量が少し減ってきたのか、先生から立ち上がるように言われて、もう一度口の中を診察された後、自宅へ帰されました。

自宅へ帰る前に切り取った扁桃を母親に見せながら手術の結果と状況を説明していました。

その時に僕も見ましたが、血だらけの肉の塊が三個トレイに載っていました。

その後タクシーを利用して自宅に戻ったのですが、タクシーのなかで気分が悪くなってきて飲み込んでいた血を大量に吐き、座席は血で染まりました。

母親が座席に掛けられているシートを弁償すると運転手さんに話しているのが聞こえます。

しかし運転手さんは、ぐったりとして血を吐く僕を見て、もう死ぬのかと勘違いしていたようで

「シートは帰ってから、すぐに洗濯するので弁償の必要はありません」

と言い残して、料金だけを受け取ると、ただちに立ち去りました。
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