いじめから救ってくれた捨て猫
原因は大量出血をして、血液不足になっていたからです。

僕は這うようにして化粧をしている母親のうしろを通り、縁側へ向かって行きました。

「爽、動いても大丈夫な?」

母親の声が聞こえます。

どうして立てないのだろうと思いつつ、縁側まで、たどり着いたところで庭に向かって大量の血を吐きました。

その時、僕はこのまま死ぬのかなと思い、生まれて初めて死を実感したのです。

まだ幼いので死への恐怖感はありませんでした。

死ぬということが、分かっていなかったのでしょう。

その光景を見た母親は、慌てて吐いた血を洗い流すと、タクシー会社へ電話を掛けます。
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