いじめから救ってくれた捨て猫
「痛たた」

山中君は膝を抱えて、うずくまりました。

僕は山中君に近づいて

「大丈夫?」

声を掛けると、山中君は少し恥ずかしそうに

「痛かった」

と言いました。

その時、僕は思い切って、子猫の事を訊いてみました。

「山中君の家で一昨日から子猫を拾って飼っているん?」

「うん、飼ってるけど」

「あのな、一昨日の日に僕が子猫を拾って飼おうと思ったんやけど、家で飼ってくれなかったから、また捨てたん。ひょっとして山中君が拾った子猫が、そうかなと思うんやけど」

「ふ~ん、そうなん」
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