××夫婦、溺愛のなれそめ
「これは重役専用エレベーターなんだ」
自慢できることを自慢げでなく、さらりと笑顔で言ってのけるレヴィ。
待たされることなく、そのエレベーターはすぐに到着した。さっきも、これに乗ってきたのね。
一緒にそれに乗ると、途中停車することもなく、すんなりと目的の階についた。
「こっちだよ」
レヴィに案内されるまま、広い廊下を歩いていく。途中、普通のオフィスではなさそうな重厚な扉ばかりとすれ違った。
この階自体、一般の社員が入る場所ではないんだろう。
重役とその秘書たちしかいないのか、フロア全体が静まり返っている。それが余計に私の緊張感を高まらせた。
レヴィはある部屋の前で立ち止まる。ドアをノックし、レヴィが中に入っていく。私もそれに続いた。
「あ、そのままでいいから。ちょっとだけ紹介したい人がいて」
会釈をして入ったその部屋の中には、六つのデスクが小学校の給食の時間のように、横に三つずつ向き合って並べられていた。
交代で休憩をとるんだろう。明らかに仕事中だったような三人の中には、見慣れた神藤さんがいた。
彼は私を見て、目を丸くする。彼以外は二人とも女性で、一人は三十代半ばのロングヘア。もう一人は私より少し若そう。丸みのあるショートヘアが似合っている。