××夫婦、溺愛のなれそめ
「よろしくお願いいたします! 私、遠藤真由といいます。わからないことがあったら、何でも聞いてくださいね」
つやつやの肌、どんぐりみたいな目、小さな口。アイドルみたいな顔をした真由さんは、レヴィのバッグに視線を移した。
「それは?」
「あ、これ? 莉子がお弁当を作ってわざわざ持ってきてくれたんだ」
嬉しそうにバッグを掲げてみせるレヴィ。
いやそれ、けっこう恥ずかしい。きっと一人静かに食べてくれるものだと思っていたのに。
「まあ、素敵! 私、お茶を淹れます。談話室でお待ちください」
「あ、あの、お茶なら水筒を……」
持ってきた、と最後まで言わないうちに真由さんは軽い足取りで部屋を出ていってしまった。
「君たちも昼休憩、一緒にどう?」
レヴィが誘うと、他の二人はドライに首を横に振った。
「せっかくですが、私はこのあと外出の用事が。外出先でいただきます」
と、アラサー女性。
「私も昼食を持っていないので、食堂に行ってきます」
と、神藤さん。
「そうか。残念だな」
いいじゃない、そんなにみんなを誘わなくても。初めて作ったお弁当だから、それほどすごいクオリティじゃないし、恥ずかしいよ。