××夫婦、溺愛のなれそめ

「さて、莉子さんはじめましょうか」

そしてお昼まで真由さんが私に秘書の仕事を手とり足とり教えてくれた。自分のやっていることを私に伝授するという方法で。

「わあ、早いです」

彼女が作るように指示されていた書類をWordで入力して作っただけなのに、大げさに褒めてくれる。

「ちょ、ちょっと待ってくださいね」

「はい、大丈夫ですよ」

教えてくれたことが覚えきれなくてメモを取ろうとすると、嫌な顔をせずに待っていてくれる。

お昼になると、談話室に誘ってくれた。レヴィと神藤さんはまだ帰ってこない。移動中にお弁当を食べてくれてるのかな。

同じものを詰めたお弁当を開けると、「わあ、綺麗」と真由さんが褒めてくれた。そういう彼女も昨日今日やり始めたばかりという感じではない、豪華ではないけど栄養と色のバランスが取れた女子力万点のお弁当を持っていた。

「そろそろお茶の時間にしましょう」

午後三時になるとさっさとお茶を淹れにいく。一緒に用意されたお菓子は真由さんが選んで買ってきたものらしい。

「うま……!」

おもわず唸ってしまうほどの美味しさ。甘すぎない苺大福のセロハンには全然知らないお店のシールが付いていた。いったいどうやってみつけてきたのか。

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