××夫婦、溺愛のなれそめ
幸せになるはずだったのに
それから二週間。
天使な真由さんを頼りに、根性で通い続けた結果、レヴィがCEOを務める会社は、大きな意味でプラスチックを扱う会社であることがわかった。
今まで知らなかったのかよ! と言われるかもしれないけど、その通り。
前の会社はプラスチック容器を作る会社だったけど、レヴィの会社はもっと手広く、様々な製品を扱っている。
会社の規模は比べ物にならないけど、ライバル会社だったと言ってもウソにはならない。
「すごいですね、莉子さん。もう電話応対もできるようになったんですね」
真由さんが褒めてくれるけど、まあそれはそうだよね。
今までいたのと同じ業界だから、よく聞けば知っている言葉が多く、自分で思っていたよりも早く業務に慣れていった。
「いい大人なんだからそれくらい当たり前でしょ」
お弁当を持ってきたときに私をにらんでいたアラサーの百田さんは、今日もクール。というか、冷たい。
そりゃあ、給料もらって働くなら、ずっと親切に教えてもらえるわけじゃない。早めに独り立ちできるに越したことはない。