××夫婦、溺愛のなれそめ
私だって、作らずに済むならたまには休みたいよ。もともと料理はそんなに好きでも得意でもないし。
それでも家で遊んでいられたときは、まだ楽しめていたお弁当作り。今では苦痛でしかない。
「ああそう。わかった」
素っ気なく返事をした。
結局は作らなきゃいけないんだ。クオリティを落としても、買い弁にしても、義兄に突っ込まれる。きっと神藤さんにも怒られる。
レヴィが優しいからいけないのよ。どいつもこいつも、ビシッと一喝してくれればいいのに。余計な口出しするなって。
色々と助けてくれようとしているのは知っているけど、結局はレヴィの本質が優しいから皆になめられてるんだわ。何を言っても、大丈夫だろうって。
割れた食器を集めて新聞紙でくるみ、袋に入れてゴミ箱に乱暴に放り込む。
そんな私の横で、レヴィは木偶の坊みたいに突っ立っていた。それが余計に私を苛立たせる。
もういい。早く片付けて、早く自分の部屋にこもろう。
手早く食器を洗い終え、手袋を外した。
もう話したくもなかったので、レヴィの前を素通りして自室へ続くドアへ向かう。
「待って」
レヴィの声がすると同時、手を捕まれた。いつになく強引に引き寄せられる。