××夫婦、溺愛のなれそめ
ありがとう
次の日の朝。
早起きして完璧な朝食とお弁当を作った。出来上がったのとほぼ同時に、レヴィがリビングに現れた。
「おはよう……」
昨日は非常に気まずい状態だった。たった一夜明けただけでは、その空気を完全に払拭できたとは言いにくい。
「おはよう」
それでも私は前の会社で覚えた作り笑顔で挨拶をする。
テーブルの上に朝食を並べ始めると、レヴィがゆっくりと寄ってきた。
「昨夜はごめん。嫌がるようなことをして……」
「いいの。私も八つ当たりみたいなことしてごめんね」
そう謝ると、レヴィは少しホッとしたような表情を見せた。
「ところで、レヴィ。今日は私、仕事の後で友達と会いたいの」
「今日?」
急な話だと思ったのか、私に友達なんていたのかと驚いたのか、意外そうな顔で席につくレヴィ。
だけど箸を持った彼は、思いなおしたようにふわりと笑った。
「……ああ、もちろんいいよ。行っておいで。のんびりしてくるといい」
「夕食、どこかで食べてこられる?」
「子供じゃないんだから、そう心配しなくても大丈夫だよ。適当に済ませるから」