××夫婦、溺愛のなれそめ


お昼の休憩を挟み、資料をコピーしにコピー室に向かうと、そこには先客がいた。

「あ、お疲れ様です」

こちらを見てにこりとする真由さん。今日も文句のつけようがない。女子力が迸っている。

「もう終わりますから」

「大丈夫です、こっちを使うので。ゆっくりやってください」

コピー室には三台コピー機がある。前の会社と同じような感じだ。

真由さんの手元をちらっと見ると、次回の会議の資料が見えた。

「それ、ついこの間開発された……」

秘書室でも噂になっていた。どうやら開発部が、ある研究に成功したらしいと。

平たく言えば、今までのプラスチックより透明度が高く、それでいて強度も強いものができたという。

従来品に比べて圧倒的に傷にも強く、割れやすいガラスに変わることができる。これを色々な製品に応用できたら、企業の評価はますます高くなるだろう。

「そうなんです。きっと今まで以上に忙しくなりますね」

開発部だけでなく、経営全般を担っているCEOであるレヴィも、忙しくなることだろう。

喜ぶべきところなんだろうけど、心配もする。

無理をしすぎなければいいけど……。

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