××夫婦、溺愛のなれそめ
そう言いながら、遅れて運ばれてきたドリアのスプーンを持つ博之。
あっさり捨てた私がもう結婚したことにほっとしているのか、話を聞くことで罪滅ぼしができると思っているのか、落ち着いた表情をした彼。
私は途中でサンドイッチを頬張りながら、レヴィとの出会いから今までをかいつまんで話した。
どうせ来週には海外に行ってしまう人だ。契約結婚だったと言っても支障はないだろう。
と、思ったんだけど……。
「別れてすぐ別の男と結婚したって聞いたから、てっきり二股かけられていると思った。なのに契約結婚? しかも、会ったばかりのやつと? そりゃあうまくいかなくて当然だろ」
博之は呆れた顔で、私にダメ出しをし始める。
「お互いをわかりあってから結婚しないから、そんなことになるんだよ」
「返す言葉もありません……」
「義父が婚姻届けを出すのにしゃしゃり出てきたり、義兄が勤め先に文句言いに来るなんて異常だぞ。どんなすごい家か知らないけど、これからも苦労することが目に見えてるじゃないか」
「まさしくその通りで……」
私を放置気味の両親に代わって、叱ってくれる博之。言葉のひとつひとつが胸に刺さる。