××夫婦、溺愛のなれそめ
「って言うか、あなたがいきなり別れようなんて言うからでしょ。住む場所がなくなる、会社も居づらくなる、だから渡りに船だと思って……」
私とレヴィにはお互いに色々な事情があった。利害が一致したから結婚したんだ。
困っていなかったら、私だってもう少し考えたわよ。レヴィだって時間制限がなければ……私じゃなくて、他の相手を見つけたかもしれない。そう、真由さんみたいな完璧女子を。
「それは俺にも非があるよ。でも、いきなり結婚なんてさ。いくら免許証見せてきても、それが本物とは限らない。怖いと思わなかったのか?」
尋ねられて、しばし考える。けど。
「いいえ」
私はレヴィに嫌悪感も恐怖感も抱かなかった。
あの王子様みたいな顔に、高級外車。付け焼刃ではできない、優雅な身のこなしや、礼儀作法。
そう言った目に見えるものももちろんだけど、彼からにじみ出る雰囲気は、何故か私を安心させた。
御曹司なのに残念なところもある彼が、可愛く思えた。
「私……」
気になることは色々ある。義兄は意地悪だし、義母は顔すら見せないし、義父もクセが強い。
だけど、私、レヴィに関しては何も不満に思っていない。