××夫婦、溺愛のなれそめ

「……思うに莉子は、彼のことはきっと好きなんだな。彼の周りがキツイだけで」

いつの間にか空になったカレードリアの器をテーブルの隅に寄せながら、博之が言った。

「俺は義兄のやり方が汚いと思うよ。わざわざ彼のいないところで虐めてくるわけだろ? そうすると、『どうして庇ってくれないんだ』『あなたのせいで私は虐められる』ってなってくよな」

そうだと思う。レヴィは義兄の嫁いびり現場を見れば、必ず間に入ってくれた。

博之が私の気持ちを代弁してくれる。すると不思議と心が楽になっていく。

私、嫌いなのは義兄だけ。レヴィのことは嫌いじゃない。

あの義兄と付き合っていくのは嫌だけど、レヴィと離婚したいとは全然思わない。

「そう……。そうなのよ」

レヴィのことは好き。

いつからそうなったのかわからないけど。会ってすぐ好きになって、今も相変わらず好きだ。

お弁当に感動してくれるとことか、私のためだけにピアノを弾いてくれるところとか。

前の会社勤めで辛い思いをしたときも、レヴィだけは私を受け入れてくれた。

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